異世界猫編
最強の湯守、湯気につかみかかる
十一年一度も湯を絶やさなかった湯守ユキ。届いた木桶に熱い湯を張ると一本の湯気が立ちのぼり、それをつかもうとして棚のとっくりを全部落とします。猫ファンタジー第28弾。
- ・山の湯を守る白い湯守
- ・通販で新しい木桶が届く
- ・湯気が一本立ちのぼる
- ・つかみかかって棚を崩す
この短編で起きること
山の湯を守る白い湯守ユキに、通販で新しい木桶が届きます。熱い湯を張ると、桶からまっすぐ一本、湯気が立ちのぼる。ユキは目で追い、前脚を伸ばし、つかみます。何もない。もう一度、つかむ。何もない。伸び上がった前脚が棚を払い、とっくりが一本、二本、全部落ちて割れました。湯気は変わらず立っています。
なぜ猫は湯気や煙に手を出すのか
湯気や線香の煙は、ゆらゆらと形を変えながら上へ動きます。猫の目には動く獲物に見えるのに、触ってもつかめない。この「つかめないもの」への反応は、第3弾の光、第9弾の水滴と同じ種類です。熱い湯気に顔を近づけるとやけどをすることがあるので、湯呑みや鍋のそばでは気をつけてください。
シリーズの案内
「異世界猫編」の第28弾です。前の回は城門で丸まった紙を追って書状を撒き散らした伝令スズ。この回の湯守ユキは第23弾の穀倉番ワタと同じく白い猫で、湯気と雪景色に白い毛が溶け込む回です。次は王家の宝物庫を十四年守ってきた番人カギが、整理棚の引き出しの中へ消える回に続きます。
A: 靴ひも / B: 飛ぶ虫
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