異世界猫編
最強の香草売り、自分の商品に敗れる
十二年、香りを一度も嗅ぎ分け違えたことがない香草売りセリ。届いた新しい仕入れの束を検品した瞬間、店主本人が商品に沈み、市場の棚をすべてなぎ倒します。猫ファンタジー第36弾。
- ・市場で香草を売る猫の店主
- ・通販で新しい仕入れが届く
- ・検品した束に自分が沈む
- ・市場の棚を全部倒す
この短編で起きること
市場の香草店に、通販で新しい仕入れの束が届きます。店主セリは束をほどいて鼻を近づけ、検品を始めます。ところが一嗅ぎした瞬間、目がとろんとして、束の上にごろんと転がる。頬をこすりつけ、転げ回り、隣の棚、そのまた隣の棚と、市場の棚を全部なぎ倒しました。十二年の目利きが、自分の商品に沈んだ回です。
なぜ猫はまたたびやキャットニップに転がるのか
猫が特定の草の匂いで転げ回るのは、またたびやキャットニップ(西洋またたび)に含まれる成分が猫の嗅覚を刺激するためです。反応の強さには個体差があり、まったく反応しない猫もいます。効果は数分から十数分で消え、依存性はないとされていますが、与えすぎると興奮しすぎるので、遊びのアクセント程度にするのが一般的です。
シリーズの案内
「異世界猫編」の第36弾です。前の回は宝物庫の引き出しの中へ消えた番人カギ。この回は「匂い」で負ける、シリーズで唯一の回です。次は王家の酒を十七年守ってきた酒蔵番タルが、空の甕に入って蔵じゅうの甕を将棋倒しにする回に続きます。
A: 空の甕 / B: 秤の皿
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