異世界猫編
最強の靴職人、靴ひもに引きずられる
王都一の靴を十八年作ってきた靴職人トン。届いた新しい靴ひもの端が垂れて揺れ、咥えて走り出したせいで、店じゅうの靴が数珠つなぎで引きずられていきます。猫ファンタジー第29弾。
- ・王都一の靴を作る老職人
- ・通販で新しい靴ひもが届く
- ・垂れた端が揺れて我慢できなくなる
- ・店じゅうの靴を引きずって走る
この短編で起きること
王都の靴工房で、老職人トンが通販で届いた靴ひもを開けます。一本の端が作業台から垂れて、ゆらり。目が離せなくなり、咥えて、走る。靴ひもはまだ靴に通したままで、その靴は棚の靴と紐でつながっていて、店じゅうの靴が数珠つなぎになって職人のあとを追いかけます。十八年の名工が、靴に引きずられて町へ消えました。
なぜ猫は靴ひもを咥えて走るのか
垂れて揺れる紐は、猫にとって獲物の尻尾です。咥えて走るのは、獲物を捕まえて安全な場所へ運ぶ狩りの仕上げの動きだと言われています。第5弾のイヤホンのコードと同じで、細長くて動くものへの反応は猫の本能の中でもいちばん強いものです。靴ひもは飲み込むと危ないので、玄関の靴は紐を中にしまうか、靴箱に入れておくと安心です。
シリーズの案内
「異世界猫編」の第29弾です。前の回は山の湯で湯気につかみかかって棚を崩した湯守ユキ。次は大聖堂の司祭ノエルが、蝋燭の灯りに寄ってきた一匹の蛾を追って祭壇のすべてを落とす回に続きます。
A: 飛ぶ虫 / B: 綿ぼこり
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