デザインストーリー
夜が紫に染まる、あの高揚
日が落ちきる直前のほんの数分間、空は急に色を増す。青でも夜でもない、紫からピンク、そしてオレンジへとなだらかに溶けていくグラデーション。海沿いの大通りに灯りはじめたネオンが、まだ濡れたアスファルトに長く尾を引く。このデザインが描こうとしたのは、その「夜のはじまり」の高揚感だ。
ヴェイパーウェイブという郷愁
ヤシの木のシルエット、遠くのネオンサイン、地平線へ吸い込まれていく光のグリッド。1980年代のシティポップやアーケードゲームの記憶を、いまの感性で再構成した美学を「ヴェイパーウェイブ」と呼ぶ。実際にその時代を生きていなくても、なぜか懐かしい。記憶ではなく気分の郷愁——そこが面白いところで、世代を問わず刺さる強さがある。
配色がすべてを決める
この絵づくりの主役は、形ではなく色の移ろいだ。紫からピンクへ、ピンクからオレンジへ。境目をあえてにじませることで、夕景特有の湿度と熱が生まれる。金属の本体に乗せると、ネオンの光がメタルの照り返しと響き合い、画面の中だけでは出せない奥行きが立ち上がる。
裏面は光のグリッド
裏面には、地平線へ収束していくネオングリッドと、横縞でできた太陽を連続パターンで配した。表が「情景」なら、裏は「リズム」。手の中で回したときに、夜のドライブがそのまま続いていくような連なりを意識している。
手元に置く、小さな夜景
派手に見えて、実は静かなデザインだ。ポケットから取り出すたび、誰の記憶にもある「どこでもない夏の夜」が一瞬よみがえる。オリジナルZIPPOとして仕立てることで、その情景は使い込むほど深い艶をまとっていく。流行を追うのではなく、気分を持ち歩く。そんな一本を探している人へ贈りたい。











