デザインストーリー
深夜のバーで、視線がひとつ交わる瞬間
夜も更けた頃、静かなバーのカウンター席。琥珀色の照明が並んだボトルを照らし出し、グラスの中で氷がゆっくりと溶けていく——そんな一瞬を切り取ったのが、今回のデザイン「バーカウンターの流し目」です。
頬杖をついて、こちらをそっと見つめる女性。派手な仕草ではなく、ほんの少し視線を寄せるだけの静かな色気。Nijijourney風のアニメイラストらしい繊細な陰影と、雑誌の表紙を思わせる構図で、大人の夜の時間を表現しました。
背景にあるモチーフ
カウンターの奥にはぼんやりとボトルの棚。手前には氷の入ったグラスが控えめに置かれ、彼女の指先がそっと触れています。派手すぎない暖色の間接照明が、全体をやわらかく包み込みます。棚に並ぶボトルのラベルはあえて具体的に描き込まず、輪郭とハイライトだけで存在感を残すことで、視線が自然と彼女の表情へ集まるように構成しました。
表情に込めた芝居
このデザインで最も時間をかけたのは、実は「間」の表現です。誰かに何かを訴えかけるでもなく、ただそこに座っているだけの静けさ。まぶたの落ち方、口元のわずかな緩み、頬杖をつく指の力の抜け方まで、何度も描き直しながら「話しかけたくなるけれど、話しかけられたくもない」絶妙な距離感を探りました。バーという場所は、誰かと過ごす時間であると同時に、一人になるための時間でもあります。その両方の空気を、一枚の絵の中に共存させることを目指しています。
表と裏で完結する、ひとつの物語
表面は女性の上半身ポートレート、裏面はグラスと指先のクローズアップ。同じ配色・同じ光の当たり方で描くことで、側面を一周させたときに「その場にいるような」連続性が生まれます。
このZippoライターは、本体そのものを小さなキャンバスとして使い、ワンシーンを表裏に分割して構成する試みのひとつです。ポケットから取り出すたびに、静かなバーの一角を思い出すような、そんな存在になればと考えています。
質感の作り込み
金属という硬質な素材の上に、あえて「湿度」を感じさせる質感を乗せています。グラスの表面に浮かぶ水滴、氷の角が溶けて丸みを帯びていく様子、指先が触れることで生まれる淡い反射——こうしたディテールは、印刷サイズが小さくなるほど省略されがちですが、あえて残すことでライター全体の説得力が変わってきます。手に取ったときに「絵が乗っている」のではなく「その場面がそこにある」と感じてもらえるよう、細部の解像度にはこだわりました。
色使いへのこだわり
琥珀・焦げ茶・淡いオレンジを基調に、彩度を抑えた大人向けの配色にまとめました。派手さよりも、落ち着きと余韻を大事にしています。同系色でまとめつつ、氷やグラスのハイライトにだけわずかに青みを差すことで、暖色一色にならない奥行きを持たせています。
想定するシーン
このデザインは、仕事終わりに一杯だけ飲んで帰る夜や、誰かと待ち合わせるまでの静かな時間を思い浮かべながら作りました。カウンターに座り、ふと視線を上げた瞬間の空気感——そんな一瞬をポケットの中に忍ばせておきたい方に、特に馴染むデザインだと思います。
こんな方におすすめ
- レトロな雰囲気やジャズバーの空気感が好きな方
- アニメ塗りのイラストながら上品なデザインを探している方
- 自分だけの一点物を持ちたい大人の方への贈り物にも
製作について
中西工房では、こうしたイラストを一点ずつライター本体へ落とし込み、仕上げています。表と裏で視線の先が繋がるように設計しているため、単なる「絵をプリントしたもの」ではなく、ひとつの情景として持ち歩けるアイテムになっています。
制作の過程では、原画の色味を極力損なわないよう、印刷とコーティングの工程で何度も試し刷りを重ねています。金属特有の反射がイラストの陰影と喧嘩しないよう、光の当たり方までシミュレーションしながら仕上げているので、実際に手に取っていただいたときの発色にもぜひ注目してみてください。
夜のひととき、静かに手元にあるだけで気分が上がる。そんなデザインに仕上げました。
使うほどに馴染んでいく相棒として
このZippoライターは、一度手に入れたら仕舞い込んでおくものではなく、日々の中で開いたり閉じたりを繰り返しながら使ってもらうことを前提に設計しています。金属特有の経年変化は、使い込むほどに角の輝きが増し、表面の質感がしっとりと落ち着いていく——そんな変化も含めて楽しんでいただけたらと思っています。夜の一杯とともに取り出す道具として、長く付き合える一本を目指しました。











