デザインストーリー
駆け抜ける、その先へ
金属に刻み込むように描いた和文タイポ「疾走」。表面に描いたのは、二文字に込めた速度と勢いそのものです。裏面には、ゴーグルを着けた女性が動きの只中にいるシルエットを添えました。言葉の意味を、姿として裏側から補うようなデザインです。
二文字に込めた勢い
「疾走」という言葉を選んだのは、単なるスピードではなく、迷いを振り切って前へ進む勢いを表現したかったからです。リベット打ちの金属加工風の文字に、放射状のスピードラインを重ねることで、静止画でありながら動きを感じさせる構成を目指しました。
シルエットが語るもの
裏面のシルエットには、あえて表情や細部を描き込みませんでした。ゴーグルとツインテールという最小限の情報だけで、見る人それぞれが自分なりの「疾走する誰か」を思い描けるようにしています。
前へ進む人への一本
新しい環境に飛び込む人、目標に向かって走り出したばかりの人へ。派手な言葉で励ますのではなく、二文字の力強さでそっと背中を押すようなデザインを目指しました。
静止画の中の速度
止まっている絵の中に、どうやって速度を感じさせるか。それがこのデザインで最も試行錯誤した部分です。文字の角度、放射状のライン、そしてシルエットの傾き——静止した一枚の中に躍動感を閉じ込めることで、蓋を開けるたびに小さな疾走感を味わえる一本を目指しました。
漢字が持つ力強さ
英字のロゴやレタリングと違い、漢字一文字・二文字には、それだけで意味と形の両方を伝えられる強さがあります。「疾走」という二文字は、読めばそのまま速度と勢いを連想させ、形として見ても鋭さを感じさせる画数を持っています。この言葉が持つ本来の力強さを、金属加工という質感に落とし込むことで、和文タイポならではの存在感を引き出しました。
和と機械の融合
シリーズの中では珍しく、和文タイポとディーゼルパンクの機械美学を融合させた一本です。和柄や英字レタリングとはまた違う、力強い和の表現として楽しんでいただけるはずです。海外の方への贈り物としても、日本語の持つ力強さが伝わるデザインです。
影だけで語るという挑戦
裏面のシルエットは、色も表情も持たない代わりに、輪郭線だけで動きと感情を伝えるという難しさに挑んだ一枚です。ツインテールの揺れ方、ゴーグルの角度、腰の傾き——限られた情報だけで「疾走している」と一目でわかるよう、シルエットのバランスには特に時間をかけました。
二文字が背中を押す瞬間
迷いや不安を抱えたまま一歩を踏み出せずにいる時、「疾走」という強い二文字がふと目に入るだけで、小さな後押しになることがあります。言葉のちからを信じて作ったこの一本が、誰かの背中をそっと押すお守りのような存在になれば、それに勝る喜びはありません。
二文字と影、ふたつの主役
表の文字と裏のシルエット、どちらも過剰な説明をせず、必要最小限の要素で語り切ることにこだわりました。引き算のデザインだからこそ生まれる余白が、見る人の想像力をかき立ててくれるはずです。
放射状のラインが示す方向
文字を取り囲む放射状のスピードラインは、単なる装飾ではなく、見る人の視線を自然と中心の文字へと導く役割も果たしています。デザインの隅々まで意味を持たせることを、このシリーズでは大切にしています。











