デザインストーリー
朝霧の小径で、ふと振り返るしっぽ
夜明けの数刻前。山あいの集落はまだ静かで、田畑には朝霧がふんわりと立ち込めています。菜の花が黄色く灯る細い小径——その上を、ぴょこぴょこと弾むように歩いてきた赤毛の柴犬が、ふと足を止めて、こちらを振り返る。
「柴と朝のさんぽ」は、そんな一瞬を切り取ったデザインです。日本の早春、誰もがどこかで見たことのある、けれど誰のものでもない、心の奥に残る朝の風景。
柴犬という、日本の風景
縄文時代から日本人と共に暮らしてきた柴犬は、日本の在来犬の中でもっとも古い犬種のひとつといわれます。きりりと立った三角の耳、くるりと巻いた尾、利発な丸い目——その姿はそのまま「日本の風景」の一部です。
三角の耳。 くるりんしっぽ。 赤毛のあたたかさ。
この三つの要素を、写実的でありながらどこか絵本のような柔らかなタッチで描きました。朝霧のにじみ、菜の花の黄、土の小径の褐色——色味は控えめに、けれど心に長く残るように配色しています。
早春という、ささやかな祝祭
冬の終わり、地面の冷たさが少しずつ和らぎ、菜の花が一気に咲き出す。そんな数週間は、日本の自然がもっとも饒舌になる季節です。
ホトケノザ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ——足元には小さな野花が、見上げれば梅、すこし遅れて桜。柴犬はそんな小径を、鼻を地面に近づけながら一心に歩いていきます。彼が見ているもの、嗅いでいる匂い、私たちにはきっと半分も分からない。
このデザインが似合う人
- 柴犬と暮らしている人、かつて暮らしていた人
- 都会暮らしの中にも、自然との接点を持ち続けたい人
- 春先の散歩が、一年でいちばん好きな人
- 「日本らしさ」を、押しつけがましくなく愛している人
贈り物として
愛犬家の親しい友人へ。実家の両親へ。退職してこれから自然と暮らしたい上司へ。
ライターは小さなものですが、ポケットから取り出すたびに、朝霧の中の小径が手のひらの中に蘇ります。中西工房の職人が一品ずつ仕上げる、あなたとあなたの大切な人の、もうひとりの相棒に。








