デザインストーリー
ミックステープを作っていた頃
お気に入りの曲をカセットに録音して、友達に渡す。そんなミックステープ文化がまだ生きていた時代、カセットやレコードのモチーフは音楽好きの証のようなアイテムでした。CDウォークマンのケースにシールを貼りまくっていた記憶がある人もいるはずです。何時間もかけて曲順を考え、手書きのジャケットを作る。その手間こそが愛情表現だった時代の話です。
音楽への愛をコラージュに
このデザインは、カセットテープとレコードを主役に据え、蛍光グリーンからパープルへのグラデーションで音楽の高揚感を表現しました。音符や小さなラジカセのモチーフを散りばめ、雑誌の切り抜きを添えて手作りのミックステープジャケットのような質感に仕上げています。テープの巻き取り部分の細かなディテールまで意識して、モチーフとしての説得力を持たせました。
あえての蛍光グリーン
音楽カルチャーというと黒や赤のイメージが強いかもしれませんが、今回はあえて蛍光グリーンを主役に選びました。当時のストリートミュージックシーンにあった、ちょっと毒っ気のある明るさを狙っています。誰もが選ぶような無難な色ではなく、少し尖った選択をすることこそがY2Kらしさだと考えました。
ラジカセのある風景
公園や河原に大きなラジカセを持ち込んで音楽を流していた、そんな光景も当時は珍しくありませんでした。個人で音楽を持ち歩くことがまだ特別だった時代の、開放的でおおらかな空気をこのコラージュには込めています。
Zippoライターとライブハウスの記憶
ライブハウスの片隅で、Zippoライターを取り出す瞬間。そんな場面に似合うデザインを目指しました。音楽を愛する人の相棒として、日常の中でふと当時の熱量を思い出させてくれる一本です。
裏面で広がる音の世界
裏面にはヘッドホンとイコライザーバーを主役にした、対になるコラージュを配置。表のカセットやレコードと呼応しながら、音が響いていく様子を裏面で表現しています。
曲順を考えるように配置を組む
ミックステープを作るとき、一曲目に何を持ってくるかで全体の印象が決まる、という感覚がありました。今回のコラージュでも、カセットやレコードをどこに配置するかによって視線の流れが大きく変わることを意識し、まるで曲順を組むように各モチーフの位置を決めています。
誰かに聴かせたい気持ち
好きな音楽を誰かに知ってほしい、そんな気持ちがミックステープ文化の原動力でした。このデザインも、自分の好きなものを人に見せたくなるような、そんな気持ちを後押しするアイテムになれたらと思っています。音楽好きの友人へのちょっとした贈り物にも似合う一本です。
アナログな不完全さへの愛着
デジタル配信が当たり前になった今だからこそ、テープが伸びたり、レコードに針を落とす瞬間の緊張感といったアナログな不完全さが、逆に魅力的に映ります。このデザインには、そうした手間や不便さも含めて愛おしいと感じる感性を込めました。
巻き戻すという行為の面白さ
カセットテープには、聴きたい部分までジジジと音を立てながら巻き戻すという、今ではほとんど失われた体験がありました。その待ち時間さえも音楽への期待を高める儀式だったように思います。今回のデザインでは、テープのリールが回転する様子や、少し伸びたテープの質感まで丁寧に描き込み、単なる懐かしさだけでなく、あの時間の流れそのものを閉じ込めることを意識しました。効率化では得られない豊かさが、そこにはあります。
一曲入魂という気持ち
ミックステープの一曲一曲には、選んだ人の気持ちが込められていました。今回のコラージュにおいても、モチーフのひとつひとつを気軽に並べるのではなく、まるで曲を選ぶように吟味しながら配置しています。音楽が好きだった当時の自分に、そっと語りかけるような一本になれば嬉しいです。
好きなものを好きと言い切る勇気
流行に流されず、自分の好きな音楽を好きだと言い切る。そんなまっすぐな気持ちを、カセットとレコードのモチーフに託しました。
巻き戻しても色褪せない気持ち
何度聴き返しても飽きなかったあの曲のように、このデザインも長く手元で愛せる一本を目指しました。
テープの向こうに流れていたメロディーごと、大切にしまっておきたい一本です。











