デザインストーリー
未来を先取りしていた頃
2000年という節目を前に、街にはメタリックな質感とデジタルなモチーフが溢れていました。バーコード、回路のライン、クロームの光沢。「未来」がまだ手の届く距離にあると信じられていた、そんな高揚感がY2Kフューチャリズムの根っこにあります。雑誌の特集も、テレビ番組も、こぞって「近未来」を描こうとしていた、そんな時代の空気を思い出します。
"ANGEL" というクロームの言葉
このデザインは、サイバーな質感の天使の羽とバーコード風の装飾を重ね、中心にクロームメタリック仕上げの "ANGEL" の文字を主役として配置しました。柔らかいはずの天使というモチーフを、あえて硬質な質感で描くことで生まれる違和感を狙っています。優しさと冷たさ、その両方が同居する不思議な魅力を目指しました。
シルバーとエレクトリックブルーの冷たさ
他のY2Kコラージュシリーズよりも、少し冷たく硬質な色使いにしました。シルバーからエレクトリックブルーへのグラデーションは、当時のSFファッション誌や近未来的なミュージックビデオを思わせます。温かみのある色を避けることで、逆に際立つ緊張感を狙いました。
バーコードというモチーフ
無機質な記号であるバーコードを装飾として取り入れるのも、当時ならではの発想でした。実用的な記号を美しいものとして扱う、そのひねくれた美意識こそがY2Kフューチャリズムの面白さだと考え、今回のコラージュにも忍ばせています。
Zippoライターという金属の道具との共鳴
金属でできたZippoライターに、金属質のデザインを重ねる。素材同士が呼応する組み合わせだからこそ生まれる説得力があります。無機質でありながら、天使という温かみのあるモチーフが同居する不思議なバランスを楽しんでいただけたらと思います。
裏面に広がる回路の羽
裏面には同じシルバー×ブルーで、サイバー天使の羽と回路のラインを主役にしたコラージュを配置。表の "ANGEL" の文字を支えるように、静かで硬質な余韻を残す構成にしています。
硬質な線で描く柔らかいモチーフ
天使の羽という本来なら曲線的で柔らかいモチーフを、今回はあえて直線的でエッジの効いた線で描き起こしています。素材の硬さと形の柔らかさ、その矛盾がぶつかり合うことで、単なる可愛らしさに留まらない緊張感のあるビジュアルに仕上がりました。
未来への漠然とした期待
当時の「未来」という言葉には、不安よりも期待の方が大きく含まれていたように思います。今回のデザインも、冷たいメタリックな質感の中に、それでもどこか前向きな輝きを残すことを意識しました。硬質さの奥にある温かい期待を感じ取っていただけたら嬉しいです。
冷たさの中の温もりを探して
一見すると硬質でクールな印象のデザインですが、じっくり眺めていただくと、天使という優しいモチーフが持つ温もりに気づいていただけるはずです。冷たさと温かさ、その両方を行き来できる懐の深さこそが、このデザインが目指した世界観です。
デジタルとアナログの境界線で
バーコードという実用的な記号と、天使という空想的なモチーフ。デジタルとアナログ、機能と装飾という一見交わらないはずの要素をひとつの画面に同居させることに、このデザインの挑戦があります。境界線をあえて曖昧にすることで、当時誰もが感じていた「これから世界はどう変わっていくのだろう」という漠然とした好奇心を、今の視点から改めて表現しました。
想像していた未来と、今という現実
当時思い描いていた未来と、実際に訪れた今とでは、形が違う部分も多くあります。それでも、あの頃感じていたワクワクする気持ちそのものは、色褪せることなく心のどこかに残っているはずです。このデザインは、その懐かしくも眩しい期待感を、静かなメタリックの輝きに閉じ込めました。
硬さの中にある確かな希望
冷たいメタリックの質感の奥に、それでも確かな希望の光を感じてもらえるように。そんな願いを込めて仕上げました。
静けさの中で輝きを増す一本
騒がしい主張ではなく、静かに、それでいて確かに輝き続ける。そんな佇まいを持つ一本に仕上がったと自負しています。
時代が変わっても、この静かな輝きだけは変わらずそこにあり続けます。











