デザインストーリー
江戸の愛玩犬、浮世絵に咲く
牡丹の大輪を背に、ふさふさの黒白の毛並みをまとった一匹の犬が、こちらをまっすぐ見つめています。短いマズル、まんまるな目、長く優美な飾り毛——犬種の名前は「狆(ちん)」。江戸時代、大奥や大名屋敷で愛された日本の伝統的な愛玩犬です。
「浮世絵 狆」は、北斎・広重・歌麿といった浮世絵の巨匠たちの筆致を意識しながら、現代に蘇らせた狆の姿を、Zippoライターの上に閉じ込めたデザインです。
狆という、忘れられた名犬
狆は、奈良時代に大陸から渡来したと伝わる小型犬で、特に江戸時代には御殿犬として「将軍の膝の上」を許される、別格の犬種でした。生涯のほとんどを室内で過ごし、人と密接に暮らすために改良された結果、彼らはきわめて穏やかで、人懐っこく、しかし誇り高い性格になったといいます。
「猫のような犬」と言われることもあります。 高貴な静けさを、その身に宿しているからです。
近代以降、洋犬の流入で頭数が激減してしまった狆。このデザインで、彼らの存在をもう一度、現代の手元に呼び戻したいと思いました。
浮世絵という日本の発明
浮世絵は、江戸の庶民が「自分たちの世界」を描いた、世界でも珍しい大衆芸術です。墨の輪郭で力強くフォルムを取り、ベタ塗りで色を置き、グラデーションは抑え、平面的な構図で世界を切り取る——その技法は、後にゴッホやモネにも大きな影響を与えました。
藍。 朱。 骨色(きなり)。
このデザインの配色は、浮世絵の伝統的な三色を基調に、背景に大輪の牡丹を配し、上品ながらも華やかな印象に仕上げています。
このデザインが似合う人
- 日本の伝統文化を、深く愛している人
- 浮世絵や日本画を、絵画として楽しめる人
- 犬種に詳しく、希少な犬たちを大切に思う人
- 主張は控えめながら、確かな美意識を持つ人
贈り物として
茶道や華道を嗜む友人へ。海外赴任から帰国した上司へ。日本文化を伝える仕事をしている人へ。
火を灯すたびに、江戸の御殿に咲く一輪の牡丹と、そこにたたずむ高貴な狆の姿が、手のひらの中に現れる。中西工房の職人が一品ずつ仕上げる、日本の美のかけらを。








