デザインストーリー
夜の高速が一番似合う
国産四気筒の旧車には、明るい昼間の景色より、深夜の高速道路の方が似合う。直線距離を伸ばし、メーターの針を一定に保ち、エンジンの一定の唸りに身を委ねる——その単純な行為が、なぜか永遠に続いてほしいと感じる、稀有な乗り物だ。このデザインは、東京湾岸のベイエリアを行く一台を描いた。
キャンディ塗装の記憶
1970〜80年代の旧車には、独特の塗装文化があった。キャンディパープル、キャンディレッド、ゴールドのピンストライプ——どれも当時の若者文化の象徴であり、現代の量産バイクには出せない深みを持つ。色そのものが、ある時代の記憶を呼び起こす力を持っている。
改造という愛情表現
旧車を所有することは、現代のメーカー保証から外れることを意味する。部品が出ない時は自分で作り、純正にこだわらず、自分の好みに合わせて手を入れていく。マフラーの音色を変える、ステップ位置を上げる、ハンドルの形を選び直す——その一つ一つが、所有者の人格の延長になる。
火を扱う道具の系譜
旧車乗りの文化には、しばしば古い時代の所作が残っている。革ジャンの内ポケットからオリジナルZIPPO(ジッポー)ライターを取り出し、片手で蓋を開け、片手で火を立ち上げる——この一連の動作は、車種に関係なく、ある世代のライダーに共通する身体記憶だ。
仲間との夜と一本
深夜の集合場所で交わされる挨拶、エンジンの音、誰かが差し出すライターの火——そういう情景のための一本として、このデザインを送り出したい。派手な装飾ではなく、夜の中で静かに光る色味で、長く付き合える相棒を目指した。








