デザインストーリー
引き算で語るカスタム
ボバーというカスタム手法は、装飾を加えるのではなく、剥がしていく作業だ。リアフェンダーを切り、サドルバッグを外し、シートを一人乗りにし、ハンドルを低くする。残ったシルエットだけが、そのバイクの本質を語る。このデザインも、同じ哲学で組んだ。色は二色、影は一本、それだけだ。
マットブラックの語彙
艶のないマットブラックは、光を反射せず、距離感を曖昧にする。バイクの輪郭が背景に溶け、見る人の視線は形そのものに集中する。コンクリート壁の灰色と組み合わせたのは、都市の質感を呼び込むため。雨に濡れたアスファルト、夜のガレージのシャッター、そういう日常の硬い表情と、このデザインは溶け合う。
持つ人の哲学を映す
削ぎ落としたものを愛する人は、人生の他の領域でも、不要なものを増やさない傾向がある。シンプルなジャケット、無地のキャップ、最小限の腕時計——そういう美意識のラインの上に、このデザインは置かれることを想定している。火を点けるという原始的な動作に、機械的な信頼性だけを求める姿勢。それは、ボバー乗りの精神と完全に一致する。
機能美という思想
オリジナルZIPPO(ジッポー)ライターという道具の良さは、何十年も構造を変えない頑固さにある。同じことが、ボバーというカスタムにも言える。1940年代に確立された手法が、現代のビルダーの手でも生き続けている。デザインを通して、この「変えないことの強さ」を伝えたい。
ガレージビルダーへの一本
自分でフレームを切り、自分で塗装し、自分で配線を引き直す——そういうビルダーへ贈る一本。完成したマシンの写真と一緒に飾るための、無言の相棒として、長く付き合ってほしい。








