日本神話シリーズ
天岩戸の大宴会 〜世界が消えた日〜
太陽の女神アマテラスが天岩戸に隠れ、世界から光が消えた。八百万の神々が選んだ打開策は、なんと岩戸の前での大宴会でした。古事記の天岩戸神話を約10分のアニメで描く本作のあらすじ、登場する神々、見どころ、ゆかりの神社をまとめます。
ショート版もあります
天岩戸の大宴会 〜世界が消えた日〜
- ・八百万の神々が選んだ打開策は、力ずくではなく岩戸の前での大宴会
- ・アメノウズメの舞と鏡のトリックで、アマテラス自身が戸を開ける
- ・闇に沈んだ世界に光があふれる瞬間が最大の見せ場
- ・結末は鏡を覗き込むアマテラスの一言で笑いに変わる
あらすじ:世界から太陽が消えた日
舞台は陽の光に満ちた天上の国、高天原(たかまがはら)です。光の源は太陽の女神アマテラス。ところが弟のスサノオは大変な暴れん坊で、田を踏み荒らし、用水路を埋め、ついには姉の機織り小屋に皮を剥いだ馬を投げ込みます。機織りの娘が命を落とし、心を深く傷つけたアマテラスは「もう誰の顔も見たくない」と天岩戸に閉じこもってしまいました。その瞬間、世界から太陽が消えます。昼も夜も真っ暗になり、作物は枯れ、疫病がはびこり、悪い神々がざわめき出しました。動画では、本当は亡き母を恋しがる寂しがり屋という、スサノオの内面もあわせて描かれます。
神々の作戦会議と、まさかの大宴会
八百万(やおよろず)の神々は天の安河の河原に集まりますが、嘆く者と責める者ばかりで会議はまとまりません。そこで知恵の神オモイカネが出した策が「岩戸の外で世界一楽しそうな宴会を開く」こと。力ずくで岩戸を破れば女神を怒らせるだけ、気になって覗きたくなるほど楽しくすればいい、という発想の転換です。常世の長鳴鳥を鳴かせ、鍛冶の神が八咫鏡(やたのかがみ)を打ち、玉作りの神が五百個の勾玉を連ね、天の香具山の榊にそれらを飾って岩戸の正面に立てかけます。準備が整うと、かがり火と太鼓の音が闇に響き、神話史上いちばん派手な宴が始まりました。
アメノウズメの舞と、岩戸が開く瞬間
宴の主役は陽気な女神アメノウズメです。伏せた桶の上に飛び乗り、足を踏み鳴らして大胆に舞い、転んでもご愛嬌。八百万の神々は天地が揺れるほど笑い転げます。岩戸の中のアマテラスは「外は真っ暗なはずなのに、なぜそんなに楽しそうなの」と不思議に思い、少しだけ戸を開けました。ウズメが「あなたより尊い神さまが現れたんです」と鏡を差し出すと、そこに映ったのは輝く女神、つまりアマテラス自身。もっとよく見ようと身を乗り出した一瞬を逃さず、力の神タヂカラオが岩戸をこじ開けます。あふれ出した光が世界を照らし、神々はすぐにしめ縄を張って二度と閉じこもれないようにしました。
登場する神々
・アマテラス(あまてらす): 太陽の女神。高天原を治め、誰からも慕われる。弟の乱暴に耐え続けた末に岩戸へ隠れる ・スサノオ(すさのお): アマテラスの弟。亡き母を恋しがる寂しさを乱暴でしか表せない。宴のあと罪を償って高天原を去る ・アメノウズメ: 芸能の女神。桶の上で舞い、神々を笑いの渦に巻き込む作戦の要 ・タヂカラオ: 力の神。岩戸が開いた一瞬にこじ開ける役目を担う ・オモイカネ: 知恵の神。「外を楽しくすればいい」という宴会作戦の発案者 ・八百万の神々: 鏡を作り、玉を連ね、鳥を集め、それぞれの持ち場で宴を支える
見どころ:光が戻る演出と、ラストの笑い
本作は日本神話を2Dアニメで描くシリーズの長編です。前半は闇に沈む世界を静かに描き、後半は太鼓と手拍子、かがり火の宴の熱気へと一気に転じます。暗い画面が続いたあとに岩戸から光があふれる場面は、約10分の物語の最大の見せ場です。もうひとつの見どころは結末の会話。太陽が戻ったあと、アマテラスが「さっきの私より尊い神はどこにいるの」と尋ね、もう一度鏡を覗き込んで「確かにすごく尊いわね」とつぶやくくだりで、神々はまたどっと笑います。深刻な神話を、ユーモアで締めくくる構成になっています。
神話の背景:天岩戸神社と現代に残るもの
天岩戸の物語は古事記の上巻に記されています。宮崎県高千穂町の天岩戸神社は、アマテラスが隠れた岩戸を御神体として祀る神社として知られ、八百万の神々が集まって相談したと伝わる天安河原(あまのやすかわら)も近くにあります。アメノウズメの舞は日本の芸能の起源とされ、神楽(かぐら)のルーツと語られることも多い場面です。この物語で作られた八咫鏡と八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)は、のちに天孫降臨編で三種の神器としてニニギに授けられます。岩戸に張られたしめ縄は、神社の注連縄の由来としても語られます。
シリーズの前後
この物語の直前にあたるのが「スサノオの誓約 〜姉と弟の、賭け〜」編です。姉に疑われた弟が誓約(うけい)で潔白を示し、勝ちに驕って暴れ出すまでが描かれ、本作の冒頭の乱暴につながります。続きは「八岐大蛇 〜出雲の灯〜」編。高天原を追われたスサノオが出雲に降り、八つの頭を持つ大蛇を退治して英雄へ変わる物語です。さらにさかのぼると、アマテラスとスサノオが生まれた経緯は「イザナギ黄泉下り」編で語られます。三部作として続けて見ると、乱暴者だった弟がなぜ変わったのかがよくわかります。
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