デザインストーリー
貼り重ねる、という遊び方
机の下でこっそり交換したシール、パステルカラーのペンで書いたメッセージ、下敷きの隙間に挟んだお気に入りの一枚。2000年代の初め、女の子たちの手元にはいつも小さなコラージュの世界が広がっていました。蝶々のシール、ハートのシール、雑誌から切り抜いたお気に入りの一コマ。それらを重ねて貼っていくだけで、自分だけの「かわいい」が完成する。誰に教わったわけでもないのに、みんな自然とその作法を身につけていました。そんな遊び心をそのまま一枚の絵に落とし込んだのが、このデザインです。
蛍光ピンクと紫が生む温度
モチーフは蝶々とハート。ホログラム加工のようにきらめく質感と、雑誌の切れ端が重なり合うざらっとした手作り感を両立させました。背景は蛍光ピンクから紫へのグラデーション。派手すぎず、でも視線を引く絶妙な彩度で、当時のティーン雑誌の表紙をめくったときのようなワクワク感を狙っています。一枚一枚のシールの向きや大きさをわざと不揃いにすることで、機械的に配置された模様ではなく「誰かが手で貼った」ような温度感を残しました。
シールを選ぶという小さな儀式
文房具屋の片隅にあったシール売り場で、どれを買うか長い時間悩んだ記憶がある人も多いはずです。限られたお小遣いの中で選んだ一枚には、当時の自分の好みや憧れがぎゅっと詰まっていました。蝶々を選ぶか、ハートを選ぶか。そのどちらも諦めきれずに両方を貼り込んでいく貪欲さこそが、コラージュ文化の面白さだったのだと思います。
Zippoライターに宿る「あの頃」
Zippoライターという道具は、本来とても無骨で機能的なものです。だからこそ、そこに少女らしい貼り混ぜカルチャーを乗せると不思議な対比が生まれます。硬質な金属のボディに、ふわっと軽やかなコラージュ。持つ人の中にある「かわいいもの好きな自分」を、さりげなく思い出させてくれる一本になるはずです。日常の道具に少しだけ非日常の輝きを添える、そんな役割を担ってくれるデザインです。
裏面まで続く世界観
裏面には星とリボンを主役にした、対になるコラージュを配置しました。表と裏、どちらから見ても「貼り混ぜ」の世界観が完結するように仕上げています。片方だけでなく両面をひっくり返して眺めたくなる、そんな作りを意識しました。ポケットから取り出すたびに、表と裏それぞれの表情を楽しんでもらえたら嬉しいです。
こんな人に
当時シール帳やプリクラ帳を作っていた世代への贈り物に、Y2Kファッションが好きな人へのちょっと意外なプレゼントに、そして自分へのご褒美としてあの頃の高揚感を思い出したいときに。片手に収まるサイズの中に、コラージュ遊びの記憶を閉じ込めた一本です。
選ぶ楽しさをデザインに変換する
実際の制作では、蝶々とハートのモチーフをひとつひとつ別々に描き起こし、それを画像生成の力を借りて重ね合わせていく手法を取っています。シールを一枚ずつ選んで貼っていたあの感覚を、デジタルの中でもう一度再現するようなプロセスです。効率よく一枚絵として仕上げるのではなく、あえて「重ねる」という手数を踏むことで、コラージュらしい奥行きが生まれます。
持ち歩くという小さな冒険
ポケットの中でZippoライターに触れるたびに、指先にこのコラージュの凹凸を感じられたら面白いだろうと想像しながら作りました。実物のシールを何枚も貼り重ねたような立体感を、印刷の質感でどこまで表現できるか。そんな挑戦も、このデザインの制作過程には含まれています。日常のポケットの中に、ちいさな冒険心を持ち込むアイテムになれば嬉しいです。
色褪せない記憶としての一本
流行はいずれ移り変わりますが、当時夢中になった感覚そのものは、時間が経っても色褪せずに心の奥に残り続けます。このデザインを手にすることで、忘れかけていた「小さなものに夢中になれた自分」を、ふとした瞬間に思い出してもらえたら本望です。派手すぎず、それでいて確かな存在感を放つ一本を目指しました。
手のひらの中の小さな展覧会
広げれば大きなポスターほどの情報量を、手のひらサイズの中に凝縮する。それがコラージュというフォーマットの面白さです。蝶々とハート、それぞれのモチーフの重なり方を何パターンも試しながら、見るたびに新しい発見がある密度に仕上げました。ふとした瞬間にポケットから取り出して眺める、そんな小さな展覧会として楽しんでいただけたら嬉しいです。










